メニュー監修

株式会社Ladleで取り組んでいる「メニュー監修」についてのページです。

目次

薬膳の背骨となる図とは?

株式会社Ladle、薬膳ヨガ代表の深井みほ子です。
ここでは、最近とても気になっている予防医学のことと、プロの料理人の方に薬膳をとりいれていただいている理由などを、お話したいと思います。

薬膳を、ひとことでいうなら、「病気にならない食べ方」です。
薬の膳とかくので、病人食と思っていた方もいるかもしれませんが、むしろ健康食、健康な人のための食事法です。

別名、「食養生」(しょくようじょう)とも呼ばれます。東洋医学が縄文時代の頃に中国で生まれ、その後「ある図」が伝わったことで、薬膳が日本で一気にブレイクしました。

その図とは、こちら…

(図)

「五行論(図)」です。

昔は、ここから「どくだみ」とか「ビワの葉」といった「生薬」(しょうやく)を配合して、病気を治していました。これが漢方です。

薬膳は、ここから「生薬」ではなく「食材」を組み合わせていきます。
つまり「五行論(図)」は、薬膳の背骨にあたる大切な概念なのです。

五行図の読み解き方

図の中の、「木」や「水」は、グループ名です。もっかどごんすい、などと、中国語なので音読みします。
「セロリ」「肝」が同じグループに入っているのは、セロリが肝機能を整える野菜であるとい読みときます。(→※1)

(→※1)内臓の表記について
東洋医学では肝臓、心臓、腎臓のことを「臓」の字をつけずに肝、心、腎と表記します。「臓」をつくのは西洋医学(解剖生理学)の書き方で、実際に人の体を解剖したときに肝、心、腎に「臓」をつけたのが始まりと言われています。

では、セロリが肝臓にいいというのは、誰が決めたのでしょう?

それは、私たちの祖先です。
たとえばこんな症例が、

肝からの症状である「偏頭痛」に苦しむ人が、セロリの料理で回復した。”

記録されると、それが人々によって実践され、それがまた記録され次の世代へと受け継がれたものが「効能」です。

こうして東洋医学は「経験の医学」と呼ばれ、人々の命を救ってきました。
薬膳も「経験のレシピ」として、病気になりにくい食べ方を指南してきたのです。

ところがその後、東洋医学が裏街道を歩かねばならない時代がやってきます。

西洋医学 VS 東洋医学

当時、東洋医学の医師といえば、国民のヒーローでした。
学を修め、「五行論(図)」を用い、人々の命を救っていたからです。

しかし、効き目が遅いことが東洋医学のネックでもありました。そこに西洋医学が伝来します。

すぐに咳が止まる。その場で腹痛が治る。そんな「対症療法」を知り、誰もが西洋医学に魅了されました。東洋医学の医師は、怪しい存在として扱われ、医師としても認められなくなります。

東洋医学が見直されたのは、それから100年以上もたった1970年代でした。
これが「予防医学」の時代へとつながっていくのです。

予防医学をするには節制しないとならない?

現代は国民の2人に1人がガンになるといわれ、人間ドックなどの病気にかからないための医療行為が推奨されています。これが「予防医学」です。

とはいえ、人間ドックを欠かさないようにしている人が、毎晩大量のお酒を飲んでいれば、それは予防医学をしているとはいえませんよね。

かといって、お酒をやめたら予防医学になるのかというと、そうでもありません。嗜好品は強制的にやめても、ストレスホルモンの分泌により、病気を招きかねないからです。

そこで、薬膳の出番です。
薬膳には、食べてはいけないものがありません。(→※2)
薬膳は肉、お酒、砂糖など、体にどうかなと躊躇するような食材にも、体への「良い作用」が記されています。人が食べるものを選ぶスタンスなのです。

(→※2)禁忌、化学的な食品について
一部に禁忌と呼ばれる組み合わせのNGがありますが、現代ではそれほど重視されていないようです。また化学調味料などあとから人工的に作られたものには、効能がうたわれていません。「経験の医学」なので、存在しなかった食材には、症例もないということでしょう。

薬膳は効き目が遅い?

とはいえ、万物に陰陽があるように、薬膳にも弱点があります。
たとえば、即効性がないことです。

中には「生姜スープを飲んだらその場で汗がでた」など、生姜の「解表」(げひょう=毛穴を開いて汗を出す)が作用するケースもありますが、その場で「冷え性」が根治するというわけではありません。

食による養生は効き目が穏やかであることが、最古の家庭の医学といわれる「黄帝内経」(こうていだいけい)にも記されています。

では、薬膳はやっても意味がないのでしょうか?

その答えは、ノーです。
続けていれば必ず効果があり、出た効果が後戻りしないのが、東洋医学の強みだからです。

私は薬膳で冷え性が根治しました。面倒くさがりなので簡易化して、なんとか継続ができたからです。(→詳しくはこちら「薬膳ヨガとは?」

薬膳とお店のパイプ役

料理人の方たちがお店で薬膳メニューを出してくださると、私たちは、飲み会やランチでも「予防医学」ができます。

そのときのメニューづくりに、薬膳師が関わることを「メニュー監修」といいます。薬膳師は薬膳とお店のパイプ役となり、二人三脚で、お客様の安心を作ります。

主に、この3つのことに気をつけています。

(1)旬は使った方がいい?

旬は使っているよ、という料理人の方は、多いと思います。

旬が体にいいことは、東洋医学に由来があります。
「整体観念」(せいたいかんねん)の中の、「天人合一」(てんじんごういつ)と呼ばれる概念で、自然界と人は切っても切り離せない、という意味です。

夏場、きゅうりを食べると、すーっと暑さが引いた経験が皆さんもあるのではないでしょうか。

あれは、夏に旬を迎えるきゅうりに「清熱」(せいねつ=余分な熱をとりのぞく)の効能があり、食べれば自ずと熱中症予防の薬膳ができるという、「天人合一」の例です。

「秋の梨は空咳予防」「冬の長ねぎは風邪予防」など、旬のものは自ずとその時期の薬になっていることが多いのです。

薬膳ポイント①「旬は最優先で使おう」

(2)クコの実やナツメを使うことが薬膳?

薬膳をはじめると、クコの実やナツメなどの「生薬」(しょうやく)を揃えなければ、と思う方も多いと思います。しかしそれは漢方であって、薬膳の主役は「食材」です。

たとえば、いつも仕入れている食材に「鶏肉」と「じゃがいも」があるとして、それぞれの効能を調べます。

鶏肉・・・「補気」(ほき)
じゃがいも・・・ 「補気」(ほき)

補気とは「疲れたときの気力や体力を回復させる」ことなので、今あるメニューの「鶏肉とじゃがいもの岩塩ローストローズマリー風味」は、疲れた人においしいことがわかる

補気(ほき)という効能から、元々あったメニューに薬膳的な意味がみえてくることがあります。この手法を「答え合わせ薬膳」といいます。

答え合わせ薬膳は、今あるメニューに新たな付加価値を見出します。

薬膳ポイント②「今あるメニューにスポットをあてよう」

(3)じゃがいも体験談とは?

旬と効能。これさえあれば、薬膳料理はできますが、「資格もないのに薬膳を作っているといっていいの」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに日本には、薬事法という表記の制限がありますが、そのために、薬膳師が入ります。それに加えてここでちょっと、「じゃがいもの体験談」を考えてみてほしいと思います。

皆さんはじゃがいもを、どんなシーンで食べたくなりますか?
残業した日に、肉じゃがが食べたくなる?
奥さんとケンカした日に、ポテトチップを買って帰ってる?
ジャンクフードも含めたら、何か浮かぶでしょうか。

実は、薬膳としてじゃがいもを出すときにも、こんな「じゃがいも体験談」を思い出してみてほしいのです。

ただ「疲れた日においしい 鶏肉とじゃがいもの岩塩ローストローズマリー風味」と書いてあるだけでは、読む側も、「ほんとかな」で終わってしまうでしょう。

でもそこに、「残業の日は肉じゃがを食べたくなるんですよね」という体験談があったら、興味をそそられるし、「食べてみようかな」と思うかもしれません。

薬膳ポイント③「資格はなくてOK!お客様と薬膳トークをしよう」

人生100年時代が食に求めることとは?

ここまで、薬膳のルールというよりは、考え方、思想のお話をしてきました。

薬膳を始めて私がしてきたのは「体が求めるものを食べること」だけです。おいしいと思ったものは放っておいても薬になるということを、この12年で、繰り返し実感してきました。

それはきっと、子供や孫の世代も、変わらないと思います。
たとえAIが歩き回り、ランチが宇宙食のようになっても(なるかはわかりませんが)、体の仕組みははそう急には進化しないはず。疲れれば本能で、ポテトを食べたくなると思います。

薬膳はご先祖様から私たちへの食のメッセージでした。
私たちからも子供たちにバトンを渡していきませんか?

ということで、未来の食のお話でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。

導入店

ペタル ドゥ サクラ様(横浜市/仏料理 2012年〜導入)
ミクニヨコハマの元シェフであり支配人の独立店では、ミクニ時代から薬膳をとりいれています。現在も薬膳フレンチの食せるお店として、その名が全国に知られています。

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秋の定番メニュー「いちじくと蓮根のデザート」

<店舗向け薬膳メニュー講習>

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